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素人レンズ教室−その16 
 DP-2 MerrillとKino-Plasmat



先生 : 皆さんおはようございます。授業を始めますよ。
     あら?なにを騒いでいるの。ジロー、Aくん、やめなさい。
     はるかちゃん、どうしたの?
はるか : Aくんが今朝最新のDP-2 Merrill を持ってきていて、その写りをあまりに自慢するから、ジローと喧嘩になっちゃったんです。
ジロー : だってこいつったら、もうライカM9は時代遅れだとか、オールドレンズの描写の面白さは一時的にはいいけど、長続きは
       しないとかいいたいことばかり言うからさ。
先生 : いつも言っているでしょう、最新機種の描写とオールドレンズの研究を一緒にしてはいけないって。
Aくん : そうは言うけど、やっぱりデジタルカメラって画素数で描写が決まってくるわけだから、M9の1800万画素よりも
      DP-2 Merrillの4600万画素のほうが良いに決まっていると思います。
      それにDP-2は使い勝手は良くないですが、レンズも優れていてまるで中判カメラのような描写をしてくれるので、
      もうこれで十分じゃないかと思ってしまうくらいなんですよ。

先生 : 確かにFoveonの技術は素晴らしいと思うわ。
     でも、何度も言うけど、それはそれ。オールドレンズの描写の味わいというものは、技術だけでは真似できない部分もあるのよ。

Aくん : そうかなあ。
ジロー : お前、しつこいぞ!(飛びかかりそうになり、はるかに止められる)

先生 : わかったわ。じゃあその二つの描写を比べてみましょう。
      これも立派な勉強だわ。
      じゃあ、さっそく校庭のひまわりを撮ってきて。AくんはDP-2 Merrillで、ジローはM9とKino-Plasmat50mmでね。
二人 : 了解ー。

(しばらくして)

二人 : 撮ってきたよー。
先生 : じゃあ並べて見てみましょう。
 
   
DP-2 Merrill 
 絞り f8   
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5
 絞り 開放
5
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5 
 絞り f8
 
先生 : ちょっと画像の大きさがまちまちねえ。
ジロー : だってAくん寄り過ぎるんだもん。
Aくん : ジローが離れすぎなんだよ。

先生 : いいわ。なんとか比べられるでしょ。
      全体を見てどう?はるかちゃん。
      サムネイルをクリックして拡大してみてね。

はるか : やはりDP-2 Merrillのほうが抜けが良いですね。
       Kino-Plasmatのf8もクリアですけど、なんとなく周辺部では色も青く滲んだりしてますね。
       f1.5は全体的にソフトなのですが、ピントそのものはしっかりしているようですし、周辺部は例のぐるぐるですね。

Aくん : ほら見ろ、DP-2の圧勝じゃない。
はるか : でも、立体感はKino-Plasmatのほうに何故か強く感じます。被写体が浮き上がってくる感じというか、、、。

先生 : 焦点距離も違うので一概に言えないけど、それはKino-Plasmatの一つの特徴だわ。
      開放のぐるぐるボケに支えられた立体感も優れているけど、絞った時の画像が勢いをもって迫ってくる感じも
      特徴的なのね。
ジロー : そうなんだよ、Kino-Plasmatってぐるぐるボケも他のレンズのぐるぐるとは違って上品だし、絞った時に色素が
       ひとつひとつ生き生きとしてくる感じも凄いんだ。
Aくん : ジローから上品なんて言葉を聞くとは思わなかったよ。
      Merrillのほうが良いと思うけどなあ、、。
先生 : DP-2 Merrillの繊細な描写はとても素晴らしいわよ。
      ちょっと拡大してみてみましょう。
      じゃあ、周辺部からね。

 
DP-2 Merrill 
 絞り f8   
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5
 絞り 開放
5
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5 
 絞り f8

はるか : やっぱり、DP-2 Merrillは繊細ねえ。これだけ被写体から離れていてもボケの形が崩れずに、円形の輪郭が
      出ているところまでわかるわ。
      Kino-Plasmatのf8はやはり色が滲んでいて、ボケの形も崩れ気味ですね。
ジロー : f1.5はいつも通りだね。
先生 : 周辺部だけで見ると、DP-2 Merrillはさすがね。
      じゃあ中心部も見てみましょう。
Aくん : 中心だとKino-Plasmatも多少頑張るかな?f1.5なんてちゃんと解像しているのか心配だね。
ジロー : この野郎、うるさいぞ。


 
DP-2 Merrill 
 絞り f8   
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5
 絞り 開放
5
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5 
 絞り f8

Aくん : おっ、Kino-Plasmatのf8がいいね。f1.5はう〜ん。
ジロー : ちょっとまってよ。良く見なよ。f1.5の解像も凄いよ。
先生 : そうね。ジローの言うとおりかもしれないわね。それに中心部はf1.5もf8もKino-Plasmatのボケがとても
      綺麗になったわね。
      もう少し拡大してみましょう。

 
DP-2 Merrill 
 絞り f8   
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5
 絞り 開放
5
M9+Kino-Plasmat 50mmf1.5 
 絞り f8

はるか : どれも違うわねえ。
      DP-2 Merrillは本当解像感が素晴らしいわ。
      Kino-Plasmatのf1.5はやはりきちんと解像しているわね。周囲のハロの雰囲気がたまらない。
      Kino-Plasmatのf8はやはり立体感ね。毛の生えている部分がDP-2 Merrillだとどうしても平坦に見えてしまうんだけど、
      Kino-Plasmatのf8は手前から奥行がよくわかるわ。

先生 : はるかちゃんの言うとおりだと思うわ。
      それぞれがそれぞれの特徴を出しているわね。
      みんな、良い作例を撮ってくれたわね。

ジロー : やっぱりKino-Plasmatのf8はやめられないな。
Aくん : まあ、ジローの言いたいことはわかったよ。両方買おうっと。
ジロー : 相変わらず本当にいやみな奴だ。

先生 : じゃあ、今日はこれでおしまいね。
      また、次のレンズ教室で。